2005年11月07日

社員の犯罪について企業は謝罪すべきか?!
NHK記者放火事件について(その二)

20051106syazaikigyou.jpg

前のエントリは徹夜明けの勢いで書いちゃったので、お口の行儀がたいへんよろしくないわけです。そこで、もう少し冷静になって、その後の報道とか他のブログでの取り扱いとかを見渡しながら考えてみた。まあ恥さらしに前記事は修正せず、あらたなエントリにします。

果たして、NHK記者放火事件によるNHK批判は妥当なのか?企業とその従業員。責任の所在と企業の対応すべき範囲。なんかこれまで微妙に疑問だったものを、今回の報道を見て文字にして考えてみることができるようになった。
今回はその続き。
で、まず今回の事件の報道とか2chとか他のblogなどでのコメントをおおざっぱに整理。

■NHK批判派の分類

ひとつは受信料問題とか不正支出問題だとか含めて、NHKはとにかくダメ派。
もうひとつは、犯人のやったことは自作自演だが、NHKの企業目的と犯行目的が合致している。犯人も仕事の評価向上が動機だったよう。よってNHKにも責任がある派。

前のエントリで想定していたのは前者。これが論外だってのは当ブログの変わらぬ主張なんだけど、時間がたつにつれて、後者の主張が2ch含めいろんなブログでも散見されるようになってきた。

こっちの論理展開は灰だらけ猫も全面的には否定できない。だけど、その動機についての報道なんかが、NHKへの評価と絡んでか絡まずか「業績評価向上」に一本化されるてような印象を受けないわけではない。

■後者の論点の妥当なトコロとそうじゃないトコロ

後者の論点の妥当なところは、やっぱり記者のしでかしたことが、NHKのメシの種そのものになるという点。
記者には業績評価向上という立派な動機があり、その動機付けの大元たるNHKそのものが問題だ。よって社長は謝罪シル!
言うまでもなく、これはJR西日本が尼崎事故で叩かれた論理だ。

だけどなあ・・。
ややこしいところは、やっぱりそれが報道機関だってことだ。つまりあらゆる事件・イベント・トピックが仕事の種であること。だから社員が何をやってもこの論理でNHKを叩くことができる。

かくして、ほんとうにそうなのか否か十分に検証されないまま、記者の動機についての報道が一元的に収斂していないかな。

■前のエントリで言わんとしたこと、補足。

なんか、流されてないかなと。
NHK!NHK!うん、まあ、あれはろくでもない企業だっていう人が、NHKの出身者なんかでも少なくない。池田先生の一連のエントリ参照。

イエス、放火犯は人間のクズだ。でも、だからってその所属する企業、またそこに集う社員全員が人間のクズではない。「幹部も責任をとるべきだ」という人がいる(実際に給料減らすんですか・・・)。たしかに、うちの社員が迷惑掛けました、ぐらいは言ってもいいだろう。
でも、責任を社長に帰すならば、社長が再発防止のために社員の管理を引き締めること、もまた認めるという論理になる。

放火はいくない。でも、NHKの中の人が政治デモして捕まったら社長は謝罪すべきか?その時もまた管理引き締めますって言わせてしまっていいんだろうか。

■まとめー

この点はさらに突き詰めれば、治安意識の高まりとそれへの社会的対応課題として捉えることもできるだろう。
コミュニティのみならず、該当者の所属組織全般に責任範囲を広げようとする発想。社会学の方面からは「日本に社会なぞあったためしがない。あったのは世間だけだ」なんてことが言われる。ここに何かものすごく根の深〜い、日本社会の本質みたいなものをを感じてしまうのは灰だらけ猫だけだろうか?

繰り返すけど、NHKの肩持つわけじゃないよ。
叩くべき所は叩いてよし。でもそうじゃないところまで叩いたり、イデオロギーや思いこみに偏向してしまうと、叩く側の正当性とか、信頼感とかがなくなってゆく(ここらへんは日本の野党を思い浮かべて欲しい)。そうすると叩く側への監視も厳しくなって、自由闊達に叩けない雰囲気を作りかねない。

「またNHKか!」と思わないわけじゃない、でもあんまり軽々しいこというとミイラ盗りがミイラになる。そう思う
posted by 灰だらけ猫 at 01:29| Comment(2) | TrackBack(6) | 時事ねこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一般企業であれば「うちの社員が迷惑掛けました」ぐらいでいいと思いますし、今回の件で会長が報酬を返上する必要も無いと思います。
ただ、今の会長は引責辞任した前会長をこっそり引き戻そうとしたりしてますし、NHKは今回の事件以前に多くの点で身を正す必要があったと思っています。
因みに私はもはや今のNHKは不要と思っています。放送法第32条では受信契約及び受信料について定めていますが、NHKの放送内容には第3条の2(国内放送の放送番組の編集等)を遵守しているとは言い難いものがあるためです。
Posted by vank at 2005年11月07日 12:36
参考になるコメント有り難うございます。民営化すべきかどうかまでは分かりませんが、NHKそのものを問いなおす機会に来ているという点は、灰だらけ猫も賛成です。

>引責辞任した前会長をこっそり引き戻そうとしたりしてますし,,,

については知りませんでした!なんてこった。


Posted by 灰だらけ猫 at 2005年11月07日 17:12
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