2005年10月12日

『小論文を学ぶ』キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!

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ついにブログ界隈でも登場しましたか・・・
小論文を学ぶ 長尾達也著 山川出版社 2001年

ホントはいつか、もっとちゃんと推敲した文章を出したかったんだけど、、Koukyoさんのこちらのブログ『 戦慄できる環境はどこにあるのか』で触れられていたのを見て、居ても立ってもいられなくなりました。うん。自分にとっても本書は「戦慄系」でした。
灰だらけ猫は大学入学以降に読んだんだけど、いや、あらゆる「古典」の追随もゆるざず、在学中唯一無二の一冊。

■要約

中身を一言で言うと、哲学とか思想とか、理念のベースから世の中を見てみようよって姿勢で書かれた(大学入試)小論文参考書

現代社会を「モダン」から「ポストモダン」への移行期として捉え、世界観・人間観・学問方法論それぞれに対応する概念を提示し、「概念的に考える」作法を説く。おそらく類書無き、孤高のテクスト。(誰か類書を知ってたらおせーて)
おそらくは大学入試のみならず、教養課程レベルのレポート論文ならコレ一冊で対応可能。
本書は灰だらけ猫の知る限り、最高のアンチョコです。

■思ったこと考えたこと

こう聞くと、「は?!ただの衒学趣味では」ってゆう人はきっといるだろう。確かに灰だらけ猫も、現在では著者の述べる点に全面的に賛成はできないし、賛成すべきでもないと考える。

ただ、著者の寄って立つのはファッションとしての教養主義なんかじゃない。
本書を手に取ってもらえれば分かるだろうけど、それは、それまでに政治哲学も現象学も、もちろん人文社会科学系古典(岩波文庫白帯等)の表紙さえ見たことない高校生(郊外型書店しかない地方都市の青少年には確実にありえます。ありました。)に、自力で現代社会を「考えるチカラ」を身につけさせようとする教育者としての気概(筆者は実際に高校の先生らしい)だ(と灰だらけ猫は勝手に思っている)。
いやね。うっすらと汗かいてるような文体から、そーゆー気迫が伝わってくるんですよ。

本書をもっとちゃんとした書評にしてみたかったのは、まさにその「戦慄」がために。
マルクスもカウンターカルチャーも、そして筆者のいう「ポストモダン」の流行さえもとっくに終わった後で大学に入った、たいして文化資本の豊かでない中流以下の家庭に育てられた坊やにとって、「概念的に考える」なんて発想の衝撃ときたらもう。南部のプロテスタント右派の人種差別主義者の農場経営主(63 男)が神隠しに遭って、秋葉原の真ん中に放り込まれ住み込みの召使いとして働かされるようなものに違いない。

分かりやすく言うと、「概念的に考える」っていう、その「概念」そのものの存在を知らないでいた人間が、ある日突然世の中の、政治経済社会にまつわる大きな歴史的流れを説明するコトバを知らされた驚きというか閃きというか。
世界は、夕方6時半のニュースキャスターがモゴモゴと伝える個々バラバラの表象の塊じゃないんだって直観させられた時の衝撃。
世界は一本の糸でつながっている。
一生モノだった。少なくとも灰だらけ猫にとっては。

■よめばわかるさ

どうなんだろう。
灰だらけ猫たちの生まれた時代が、周囲に理念のレベルに関する会話とか書物とか社会的事件の溢れていた頃(「教養主義」が生きていた頃)だったら、誰もこんな質の高いアンチョコを必要としなかっただろう。
そこらへんに転がってる事象を、抽象化して考えることが「できる」んだということ。ある程度、意味の共有されたタームを使うことで、見知らぬ人とも一般的な事柄について与太話をはじめられること。
そうゆうことが分かってない大学生以下にはちょうど良いテキストだと思うし、そこらへんの事情に通じた大人には、忙しいとき用「脱蛸壺化便利マニュアル」程度にはなるんじゃないかな。
だから、やっぱり現代が現代であるがために需要のある本なんだと思うんですね。

ちょっと、誉めすぎかな?
それじゃあ最後に、「モダン」への弔辞を散りばめた本書と著者に対し、ヒトコト言っておきたい(#゚Д゚)





啓蒙は終わらない。
終わってなんか、いない。


追記:
筆者、長尾達也センセのウェブサイト
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/tatngo/

あと本書を出した山川出版社の心意気に拍手しつつ、続編是非希望!

追記2 20070220
年を追うごとにAmazonのレビュー数が増えている・・・
やっぱり「史上最強のアンチョコ」(良い意味で、ですよ!)としたのは間違ってなかったと思う。
ただし惜しむらくは、参考文献一覧や発展のための読書案内がないことだなあ、と最近思うようになった。『小論文を学ぶ』からいきなり諸々の「古典」にとっかかろうとするのは無理があるだろう。大学学部レベルの教科書なんかで良い物があれば上げていただきたい。
また長尾先生がいったい何をベースにして本書を書き上げたのか、が分からないことも玉にキズなところ。一般書であっても脚注と参考文献表は必ずつけてもらいたい。とゆうか長尾先生のサイトの更新が止まっている・・・ (ノД`)



463407110X小論文を学ぶ―知の構築のために
長尾 達也

山川出版社 2001-08
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posted by 灰だらけ猫 at 00:09| Comment(1) | TrackBack(3) | 観たもの読んだものねこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『小論文を学ぶ』、京大経済論文か東大後期試験の再受験対策で使いましたよ・・・後で京都大学の学部には男しかいないことを知り、性転換しようかと悩んだ私ですが、まぁ、戦慄というより思春期以降初めて出会う「知」との出会いでした(幼少期は『ふしぎの国のアリス 算数パズル』と、かこさとし『かがくのえほん』が「知」との出会いでした)。ただ、パラダイムが80年代的構造主義というかポストモダン論に偏りすぎですよね。『20歳の原点』みたいなものを追求すれば、汚いホームレススタイルで花いっぱい運動をしていたヒッピーがいそうで、ちょっと心配。
Posted by ひとみん at 2008年09月10日 03:38
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Excerpt: 灰だらけ猫さんから「『小論文を学ぶ』キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!」というtrackbackをいただきました。
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